本田佳祐くんが所属するサッカー日本代表は南アフリカW杯グループリーグ最終戦でデンマークと対決し、3-1で快勝しました。

(無回転FKで先制ゴールを奪い吠える本田くん)
日本はカメルーン戦、オランダ戦と同じく、阿部を中心に長谷部と遠藤で中盤にアンカーを形成し、両翼に守備から入って攻撃にアクセントを加える大久保と松井を配置し、本田くんをすっかり定位置となった1トップに置く布陣でデンマークに挑みます。対するデンマークは試合開始時の撹乱を狙ったのかトマソンをトップ下ではなく前線に置く布陣を取ります。

デンマークのこの作戦は一定の成功を収め、試合開始から日本のプレッシングを混乱させることに成功します。それに対してデンマークは両サイドにワイドに展開し、速くて長いグラウンダーのパスを見事につなげて日本ゴール前で次々と危険なシーンを演出します。
しかし、岡田監督もこの違和感にすぐ気がついたようで、守備的ながらカメルーン戦よりは前がかりになっていたチームを守備的な形に変更します。
そして転機は前半17分。今日のデンマークのクオリティは危険だなぁと思っていた時間帯に日本がフリーキックを獲得します。右サイドの深い位置でゴールまで30から35mといった距離。もちろん、キッカーは本田くんです。ここ最近、練習も含めてFKでいいところがなかった本田くんなので、私はあまり入れ込み過ぎないように見ていました。本田くんも同じように力を抜いて蹴ったのか、ボールはあまり浮き上がらずに壁を越え、横っ飛びをするGKの手の先をかすめ、ゴール左隅サイドネットに突き刺さります。
いや正直、ここで決めるとは思っていなかったのでビックリしました。まさにUCLセビージャ戦の再現のような最高のタイミングでした。観客席に向かって走り、そして吠える本田くんを見て、私もガッツポーズをしました。
こうなってくると日本はかなり優位な状態になり、デンマークは崖っぷちから片足を踏み外した状態になりました。デンマークがグループリーグを突破するためには2点が最低必要となってきます。
本田くんの先制ゴールでプレーに余裕が出てきた日本は前半30分にゴール正面の近い位置で再びフリーキックを獲得します。ここでまた本田くんが蹴ってくるのかと多くの人が考えたと思います。それはデンマークも同じで、明らかに本田くんを意識した壁づくりで、GKも左寄に構えていました。しかし、ここで蹴ったのは遠藤です。手薄だった壁の右側を越えて巻いていったボールはキレイにゴール右隅に突き刺さります。
さすがに日本が前半で2-0というリードを奪うとは誰も予想してなかったと思います。これでデンマークが決勝トーナメントに進むためには最低3点が必要になります。
後半に入るとデンマークはすべての交代枠を使いきり、守備的な選手を下げて攻撃的な選手を投入し、パワープレーで日本ゴールに襲いかかります。何度も日本ゴール前にロングボールを入れてくるデンマークに対して日本も跳ね返しを狙いますが、後半36分、長谷部が相手DFを倒し、PKを献上します。
PKのキッカーはトマソン。迷いなく蹴ったボールには川島が反応して一度は弾きますが、トマソン本人がこぼれ球に詰めてデンマークが1点を返します。トマソンはこの試合、ゴール前でヘッドで競るわけでもないのに足元にピタっとボールを受けるという神出鬼没ぶりを発揮し、何度も日本に対して危険なプレーをしてきました。それでも点が奪えなかったのはトマソンにとってはアンラッキーという言葉以外になく、このトマソンのゴールは順当な1点だと私は思います。
これでデンマークが波に乗るのかと思いきや、そうはさせないだけのクオリティがあったのがこの試合の本田くんでした。前線に蹴ったボールを本田くんがしっかりと受けると、自ら切り込み、周りを活かすパスを出し、味方の攻められる時間が長い時は前線で1人でボールをキープし、しっかりコーナーキックまで獲得するという働きぶりでした。
そして、後半42分、試合を決定づけるゴールが生まれます。ゴール左でパスを受けた本田くんが「テクニシャン」「ファンタジスタ」と形容されそうな切り返しでDFを振りきり、絶対にこいつが決めにくる!!と詰めたGKの逆を付く中央への折り返しパスを選択し、まさに押しこむだけという岡崎への最高のアシストを提供します。これで日本は3-1。
試合終了間際には本田くんが左サイドから自らボールを持って中央に切れ込むとそのまま右足を振り抜きますがボールはわずかにバーの上でした。この試合、日本の勝ち抜きのために先制ゴールを決め、遠藤にFKを譲り、自分で決められただろう3点目を岡崎に託し、走り、キープし、アクセントとなるパスを出し、チームのためにプレーしてきた本田くんが、最後の最後にエゴを見せたというプレーでした。そういう自分のためのプレーだけが失敗したというのが、あまりメディアを通じて伝わらない本田くんの性格をよく表していると個人的に感じました。

この試合、日本はデンマークよりよく走り、守備的に入ったものの可能性を感じさせる攻撃を見せ、そして、デンマークより多くのゴールを決めました。日本は十分に決勝トーナメントに進む権利のあるプレーをしたと思います。
ちなみに、日本は0-0でも決勝トーナメント進出が可能であり、その場合、グループリーグをわずか1得点で勝ち抜くことになり、そうなっていれば非常に稀な記録になっていたそうです。

日本は次戦、29日(火)の日本時間23時からF組1位のパラグアイとベスト8を賭けて戦うことになります。
そして、何度も苦杯をなめさせられているスナイデルのいるオランダにリベンジするには、決勝まで進む必要があります。
正直、パラグアイは格上ながら、カメルーンとデンマーク相手に番狂わせを行った日本であれば、十分に射程範囲にあると思っています。しかし、日本がついてないなと思うのが、ベスト8の相手がブラジルだったりスペインだったりする可能性があることです。できればスイスとポルトガルに出てきてほしいですね。
それにしても、今回のW杯のアジア勢の結果次第ではアジア枠が減少するとい話もあっただけに、韓国に続いて日本も決勝トーナメントに進出できたことは大きいですね。北朝鮮もグループリーグ敗退ながらも大健闘していましたしね。韓国は決勝トーナメントのブロックもいいところにいるので、ベスト4なんてこともあるかもしれないですね。個人的にはアメリカが台風の目になりそうな予感もしていますが。

さて、本田くんに話を戻すと、カメルーン戦に続いてデンマーク戦でもFIFAによるM.O.M.を獲得しました。グループリーグ3試合の中の2試合でM.O.M.というのはすごい快挙だと思います。

(Sky Sportsによる評価)
各所での評価点もすさまじいものがあります。日本が勝利したことでチーム全員の評価が高いのですが、その中でも別格の9点(10点満点中)が付いているところが複数あります。

専門家の評価とユーザー評価の両方で9点台というはなかなかお目にかかれない評価だと思います。

中には本田くんと松井の両者に9点を付け、松井をM.O.M.に選ぶところもありました。確かに松井もM.O.M.に値する活躍をしていたと思います。そういう意味では遠藤もよかったですね。
ちなみに、試合後にデンマーク国内で行われた「この試合で最も良かった選手」アンケートで、本田くんを選択した人が全体の63%に達していたそうです。相手国のサポーターに評価されるというのは大変名誉なことですね。2位は同国のアッガーで23%でした。
そういえば、98年のW杯初出場に加えて自国開催以外で初の決勝トーナメント進出ということで、結果だけ見ると確実に岡田監督は名監督として日本サッカー界に名を残すことになりそうですね。

夢にまで見た決勝トーナメントの舞台。本田くんがどこまで駆け上るのか、本当に楽しみですね。
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