9月5日(土)、サッカー日本代表 vs オランダ代表のフレンドリーマッチがオランダ エンスヘーデで開催され、オランダ代表が順当に勝利を収めました。

sc-090905-8912-ns-big-1.jpg

日本のスターティングメンバーに本田くんの名前はなく、現時点での岡田監督にとってのベストメンバーと言える布陣でオランダ代表に勝負を挑みます。

試合が始まると、オランダ代表が芝に足を滑らせたりと流れに乗り切れないところに日本のプレスが有効に働き、セカンドボールをことごとく拾うと何度もオランダゴールに迫ります。正直、前半15分を見た感じだと、本田くんがいないこんな状態で日本が先制点を入れてしまうんじゃないかと思いました。プレーエリアはオランダゴールの近くで、日本はピンチどころかボールが日本ゴール付近にさえやって来ない感じでした。

しかし、前半の半分あたりになると、オランダがペースをたぐり寄せ始め、いつの間にかプレーエリアがオランダゴール付近ではなく、センターサークル付近になっています。そして、ハーフタイムに近づくにつれ、プレーエリアは日本ゴールに近づいてきます。前半終了間際にはオランダがあわやというシーンを演出しますが、最後の呼吸が合わなかったために不発に終わります。そして前半終了。0−0で折り返します。

後半になると、玉田に代わって本田くんがついに登場します。プレーエリアがだんだんと日本ゴールに近づいてきているのところで登場というのが心配ですが、中村俊輔との共存も含め、どんな活躍を見せてくれるのかとドキドキです。

ところが、後半が始まってみると、本田くんの位置は左サイド。普段、プレーしている右サイドとトップ下には、それぞれ中村俊輔と中村憲剛のダブル中村が張り付いています。まぁ、この際、場所にぜいたくは言ってられないと思ったのもつかの間、、ボールが全く左サイドを経由しません。

まぁ、たまたまかと思ってみていますが、オランダが日本の右サイドが弱点と踏んだのか、右サイド側から攻められ、日本もなぜか右サイドからばかり攻めます。本田くん、左サイドで空気のような存在になっています。

sc-090906-01-ns-big.jpg

そして、前半16分、中村憲剛が倒され、ゴール中央やや右25mの位置でフリーキックを獲得します。場内からは日本サポーターからではなく、オランダサポーターから「本田コール」が沸き上がります。これはすごい、まさに敵味方を超えた大歓声。本田くんも蹴る気マンマンというか、むしろ野獣の目をしています。

しかしながら、本田くんと中村俊輔のやり取りが、どちらが蹴るかを決めているという雰囲気ではなく、俊輔の顔からやたら嫌悪感のようなものが見て取れます。一体これはなんでしょう。。そして、本田くんが「蹴らせてくれ」とボールをセットして助走のために後ろに下がると、俊輔が再びボールの前に行きボールをセットし直します。審判からは遅延行為と見なされて俊輔にイエローカードが出ます。何が何やらわからないまま、俊輔がフリーキックを蹴り、カーブのかかったボールが枠内に飛ぶも、スピードが速かったわけでもコースが厳しいわけでもなかったためキーパーが横に飛びながらセーブします。

ここでオランダは前線のメンバーを入れ替えてきます。そろそろ1点を取っておこうという動きでしょうか。心配、というか不安なのが、日本の運動量が落ちてプレスが効いてないところ。さらに希望が持ちづらいのが、日本から得点のにおいが全くしないところ。期待の本田くんもフリーキックでテンションが下がったのか、ますます透明になっています。

そして後半23分、コーナーキックからオランダが先制点を奪います。ファンペルシの見事なシュート。というか、シュートに至るまでの連携がお見事。速く、シンプルで、正確でした。

岡田監督はここで交代のカードを切ります。中村憲剛に代えて、興梠慎三を入れます。

しかし、流れは変わらず、オランダは本田くんをスルーして、執拗に日本の右サイドを攻めます。そして、28分に中に切れ込んだスナイデルがシュート。何やらすごい隙間を通すシュートだったけど、ペナルティエリアに日本のDFが結構いた気がしたけど誰も詰め切れてないような。

ちなみに、中村憲剛が下がっていつの間にか本田くんがトップ下に入っていますが、トップ下なのにボールが集まりません。いや、実は後半開始早々から薄々とは感じながらもそんな訳はないよなと自分に言い聞かせてきたのですが、どうやら本田くん本人がスルーされているみたいです。

syunsuke.honda.jpg

中央でマークを外してフリーで走り込んでもパスがきません。本田くんの前のシュートコースが開いてて絶好のミドルシュートチャンスでも、俊輔が強引に行ってしまいました。本田くん、テンション低そう。見てる私もテンションが下がってきました。

後半34分には、本田くんがボールを奪いにスナイデルに強烈なタックル。スナイデルは本田くんのタックルの足の反対の足に自分の足を挟むように倒れて損傷。タンカで退場。かなり痛そうです。故意じゃないのは見ててわかったけど、スナイデルにとっても本田くんにとっても痛い退場となった気がします。というか、本田くんがボールを取りに行くとオランダの選手が次々と吹き飛んでいるのが異様な光景です。

ところで、日本は足が止まってるというか、左サイドにフレッシュな選手を入れたりとかはないのかなぁと思っているのですが、岡田監督は渋い顔をしたまま全く動きません。

そして、42分にはだめ押しの3点目。これも入るべくして入った3点目と言えそうです。試合はそのまま3−0で終了。日本の完敗です。


試合が終わっての印象はというと、今日の試合は「サンドニの悲劇」よりも悲観するべき試合だったのじゃないかと思います。「サンドニの悲劇」には中田くんという希望の光があったけれど、この試合ではそういう希望がなかったように思う。もちろん、本田くんも含めて。

こう書くと、日本の前半が良かったと言われそうですが、主力を数人休ませてさらにペースに乗り切れないオランダに対して、日本は前半開始早々から120%とも言えるプレスをかけ、それでも1点を奪うことができなかった。たとえば、この前半の攻撃で2、3点を取り、後半の息切れで逆転された等であれば、プレッシングがもっと長く保てるようにという方向はアリかもしれない。しかし、岡田ジャパンのベストメンバーが後半息切れするほど飛ばしに飛ばして0点では、コンセプトの見直しの必要があるように感じてなりません。

とはいえ、強豪オランダ相手でも90分120%を出し続けることができれば0−0で勝ち点1を手にできるのでは?という考え方もありそうですが、岡田ジャパンの申し子でもある玉田を含める主要メンバーが「90分ハイプレスを続けるのはムリ」「行くところは行く、行かないところは行かないというメリハリも必要では」「最後まで行けと言われたがバテた」といった試合後のコメントを残しています。岡田監督は今までのやり方を変えずハイプレスを90分やり通すようにすると言っていますが、今まで10年、20年とサッカーをしてきた選手が90分はムリと言っているのを、たった9ヶ月で90分全力プレスがができるようになるというのは現実味がないと思います。もしそんなことが可能なら、1年もあれば日本選手全員が90分全力プレスができるようになってしまいます。

というか、90分全力プレスで全員攻撃全員守備でW杯の初戦を勝ったとして、短期決戦となる2試合目、3試合目まで身体って持つのでしょうか。選手寿命が縮みそうですね。

iPhone.Mac.E-420.E-P1_0029.png

と岡田ジャパンのコンセプトについて考えてみましたが、現在の日本代表は岡田監督が率いるチームであり、そのコンセプトの中心には中村俊輔がいるという事実は今後も変わらないと思います。

試合後の岡田監督のコメントである

今までやろうとしたことを90分間やり通すしか勝ち目はない、と感じる。

日本の場合、全体として戦っていくことが必要。1つでもピースが欠けると攻撃は足りなくなり、守備も守れないということがはっきりした

を読み、中心選手である中村俊輔のコメントである

(オランダは)前半はそこまで怖いって感じではなかった。後半も途中までできていたし。だから後から入ってきた人も含めて、全員が連動していかないと。新しく入ってきた人は体力があるわけだから。それなのにズレてズレてとなっていたから、簡単に後ろの方まで行かれていたのが多かった。

今日やってみて、誰が(入ると)どうなるとか、チームとしてはどうかというのは分かった。

(プレスを90分やり続けるしかない?の質問に対して)そうだと思うよ。だから後から入ってきた人がもっと重要になってくる。もっと走らなきゃ。もともと出てた選手よりもっと走って、気を利かせてというか。『オレはこういう選手だから守備しない』とか言ってたら、こうなっちゃうからね。組織あってのポジションだから。オレは親じゃないんだから、自分で感じてほしい。

向こうはみんながトップクラスで、個人の力もありつつ、組織で戦える。日本はそういう個の力がないから、それ以上の組織力で戦わないといけない。

を読むと、両者の見据える方向は同じだと思います。つまり、日本は個では勝てないから90分プレスをやり続けるしか道がない、と。さらに、両者の認識として、途中交代の本田くん(もしかすると興梠も)の代表での立場はかなり危ういものになったと感じます。というか、落第としてもう岡田ジャパンには呼ばれない可能性もないとは言えません。完全に戦犯にされている感がある本田くんですが、ひいき目と言われても、敗因は本田くんではなく、日本がただ全力プレスでバテたという点だと思います。

本田くんのコメントである

点を取ると自分で言って、点が取れなかった事実がある。どうしても1点は取りたかった。それどころか、僕はシュートも打っていないですから。試合に入っていないのは事実。途中出場だろうが、それは言い訳にもならないです

を読む感じだと、今日の結果を誰のせいにするわけでもなく真摯に受け止めているようです。もう一度、本田くんにチャンスが与えられるなら、前半から、俊輔の代わりに出たらどんな動きをするのかを見てほしい、というか、見せてほしい。本田くんがオランダ代表のような強者とW杯で渡り合うためには、まだまだ経験が必要なのはわかった上でも、何か日本代表の新しい光が見えそうな予感もします。

ちなみに、オランダ代表のファンブロンクホルストは、

日本代表はゴール前20メートルまでのパス回しは素晴らしい。完ぺきだったが、その後の怖さが全くない。あのFWが相手では、劣勢だった前半もゴールを奪われるイメージを 一度も持つことはなかった。シュートは打っていたが、枠を外していたので全く脅威に感じなかった。

後半は選手交代もあったが、日本が勝手に疲れて止まった。あのサッカーは90分間できない

と日本をバッサリと切っています。が、個人的にはこのコメントが全てではないかと思います。FWだけがダメというつもりはないですが、MFも含めてフィニッシュをする人が今の代表にはいません。日本の全力プレスが90分成功して相手を0点に抑えても、0−0が関の山なら岡田ジャパンの目標であるW杯ベスト4はムリでしょう。

最初のサンドニに話を戻すと、あの試合、フランス相手に日本はボロボロでも、中田くんにボールが渡ると得点のにおいがしました。今回のオランダ戦の前半は、岡田ジャパンのベストメンバーが全力プレスに成功しながら得点のにおいがしませんでした。これはむしろ、悲観するべき結果じゃないかと思います。

あの時も今回も、結局、ゴールにつながるのは個の力だったんじゃないかと感じます。野球ならフィニッシャーがいなくても4人がヒットを打てば点が入りますが、サッカーでは4回パスをつないでも、100回つないでも1点も入りません。組織力というのはパスを100回つなぐ力であり、今の日本代表が否定している個の力こそが1点を取るための力のように思います。そんな個の力を周りからはみ出しても唯一叫んでいるのが本田くんで、その希望の光が日本代表という組織の力によって消されようとしているのが皮肉なところです。

■ 関連する記事(自動表示)
    None Found
×この記事を評価しない (0 Star)◎この記事を評価する (5 Stars) (←次回記事検討のために感想を聞かせてください 現在4人が評価し★+19つ)
Loading ... Loading ...
カテゴリー: Football (サッカー), ブログ  タグ:
You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed. You can skip to the end and leave a response. Pinging is currently not allowed.
コメントを残す

XHTML: You can use these tags: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">